「花の間2025」随心院を訪ねて 〜 襖絵、はねず踊り、小野小町 〜

春の訪れとともに、小野小町ゆかりの地としても知られる京都・山科の随心院で開催される「花の間 2025」。
普段は「能の間」として使われるこの空間が、「花の間」として特別に彩られます。京都の絵描きユニット・だるま商店による襖絵 「極彩色梅匂小町絵図(ごくさいしきうめいろこまちえず)」 と、襖絵の部屋に飾られた色とりどりの花々が織りなす華やかさと雅な美しさは、まさに圧巻です。
花の間の「極彩色梅匂小町絵図」

だるま商店による「極彩色梅匂小町絵図(ごくさいしきうめいろこまちえず)」
この襖絵は、小野小町の生涯を描いたもので、左から
・饗宴の図:仁明天皇に仕えた宮廷での暮らし
・伝承の図:宮仕えを辞し、山科小野の里で過ごした日々
・夢幻の図:山科小野を離れ、各地を放浪した晩年
を表しています。
こちらは、「伝承の図」の一部。
まさにここ、随心院で春に行われる「はねず踊り」を舞う少女たちの様子が描かれています。

随心院にて行われるはねず踊り
美しい色彩に心奪われていると、「あれ?・・・観客がスマホやカメラを持っている?!」
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平安の雅な世界にどっぷり浸っていたはずなのに、目の前にはスマホを構える現代の観客。まるで時代が入り混じったような、不思議な光景。

襖絵に描かれたスマホやカメラを持つ観客たち
この襖絵の魅力は、極彩色の豊かさだけではなく、昔の風景と今が同じ世界に溶け込むように描かれた独特の世界観。
平安の絵巻の中に、ふと現代のものが紛れ込んでいる――それが不思議と違和感ではなく、むしろ面白くて、その奥深さに引き込まれます。
この襖絵には、まだまだ他にも発見がありそうです。
随心院のはねず踊り
襖絵にも描かれている「はねず踊り」は、春に開催される伝統行事です。
淡い朱華色(はねずいろ)の衣装をまとった少女たちが舞う姿は、まるで平安の雅を今に伝えるかのよう。この踊りは、小野小町に想いを寄せた深草少将が、百夜通いの末に力尽きたという「百夜通い伝説」をもとにしたもので、現代にも受け継がれています。
また、境内には遅咲きの梅として知られる『はねず梅』の梅園があり、春になると優雅に花を咲かせるのだそうです。私が訪れた3月上旬は、まだ蕾がわずかに顔をのぞかせている程度でした。
2025年の情報はこちら。
令和7年『名勝 小野梅園』公開のお知らせ
小野小町とはねずの梅が美しい春限定の御朱印
小野小町の優美な後ろ姿とはねずの梅が箔押しされた「令和7年春限定」の御朱印。光の加減や角度によって、さまざまな表情を楽しめます。

随心院 – 令和7年度 春季限定の御朱印
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初めて訪れた随心院。
華やかな襖絵に惹かれて足を運びましたが、そこで出会ったのは、平安時代の雅やかな世界と、小野小町の伝説が今も息づく特別な空間でした。
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スポット情報
スポット名 : 真言宗大本山 隨心院
公式URL: https://www.zuishinin.or.jp
住所 : 〒607-8257 京都市山科区 小野御霊町 35
詳細につきましては、公式ページよりご確認ください。