知床ネイチャーウォークで出会ったヒグマと、自然の中で学んだ体験記

北海道・知床を訪れた際に参加した「知床ネイチャーウォーク」。
この場所は、手つかずの自然と野生動物が共に生きる世界です。
そんな場所で、まさかの野生のヒグマに遭遇した時の出来事を綴りたいと思います。
私が訪れたのは10月前半。ちょうどどんぐりの実が多く落ちる時期で、ヒグマの出没情報もあった時期です。
今回は、その時の体験と、そこで実感した「自然と向き合うための心構え」について書き留めておきたいと思います。
Contents
レクチャーで学んだこと
ネイチャーウォーク出発前、参加者全員がガイドからレクチャーを受けます。
レクチャーは約10分。ビデオの説明とガイドからの説明を受けます。
・出会ってしまった時に絶対にしてはいけないこと
・そもそも出会わないようにするための行動
その中で何度も強調されていたのが「ヒグマに出会わない努力をすること」。
「出会わないようにする」という表現がとても印象的でした。
でも、そんなことってできるの?と思ったのですが、クマ避けの鈴や音を出して歩くことがその一つでした。
ヒグマに出会わないための注意事項

フィールドハウス内で見たヒグマに出会わないための注意事項
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私は鈴を持っていませんでしたが、一緒に出発するグループの中に鈴を持っている方がいたので心強く感じました。
鈴を持っていなくても、ガイドから教わった「両手で大きくパンパンと音を出しながら歩く」という方法を教えて頂きました。
もしもヒグマに出会ってしまった時の注意事項
フィールドハウスで見た注意事項を何度も心に留めました。

知床フィールドハウスでの注意事項の看板
いざ出発
レクチャーの受講後、「立入認定証」をもらい、いざ出発です。

知床ネイチャーウォーク 立入認定証
ネイチャーウォークのコース
ネイチャーウォークのコースは2通りあります。
《小ループ》入口 → 二湖展望地 → 一湖 → 出口(所用時間 約40分)

知床五湖 ネイチャーウォークのマップ
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私たちは知床五湖一周するルート(所要時間90分)を選択しました。
フィールドハウスを出て、五湖 → 四湖 → 三湖 → 二湖 → 一湖 → 高架木道からフィールドハウスへと戻るルートです。
道中では、自然環境を守るために設置された木道(もくどう)を歩きます。足元の植物を傷めないように配慮された、歩行者専用の通路です。

知床ネイチャーウォーク
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やがて辿り着いたのは、知床五湖のひとつ「五湖」。
参加者たちは、湖の前でそれぞれ思い思いに記念写真を撮っていました。

知床五湖(五湖)
私と同行者は、グループより先に出発しました。
クマ除けの鈴を持っていた参加者はまだ湖の前で撮影をしていたため、私たちは自分たちで大きな音を出すように、手を叩きながら歩みを進めていました。
ヒグマとの遭遇
静かな林道を歩いていると、道が右に曲がるあたりで、左手の茂みに黒い大きな影が見えました。
まさか──。
緊張が一気に高まりました。
それは、まぎれもなくヒグマでした。
あまりにも突然の出来事に、恐怖で立ちすくみました。
それでも、後に続く人たちに伝えなければと、震える手でカメラのシャッターを切り、なんとか収めたのがこの写真です。

知床ネイチャーウォークで出会ったヒグマ
幸いなことに、こちらの存在には気づいていない様子で、どちらかというとゆっくりと離れていくように見えました。
きっと、私たちが大きな音を出して歩いていたからだと思います。
カメラを向けたときには、ヒグマはすでに四湖の方向へ向かって移動しており、距離はかなり離れていました。
画面の端に小さくしか写っていませんが、今では大切な記録となっています。
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ヒグマとの遭遇の後、五湖で撮影をしていた別のグループのメンバーが、こちらに向かっているのが見えました。
私たちはすぐに「クマを見たこと」を伝え、引き返すよう声をかけました。
彼らは海外からの観光客で、最初はヒグマがいると聞くと、かえって見に行こうとする様子でした。
そこで、レクチャーで教わったことを思い出してもらうように伝えると、やがて理解してくれたようで、全員で一緒に引き返すことができました。
全員で無事にフィールドハウスへ戻ることができ、ホッとしたのを覚えています。
戻った後、私はフィールドスタッフからヒグマの目撃について詳しく聴取を受けました。
遭遇した場所や時間、状況などをできるだけ詳しく説明し、撮影した写真もその場で共有しました。
フィールドハウスにあった模型で改めて、遭遇した場所を確認しました。

知床ネイチャーウォークエリアの模型
学びと実感
ヒグマに遭遇したとき、鈴は持っていませんでしたが、ネイチャーガイドからのレクチャーで学んだ「自分たちでできる方法」を知っていたこと、そして実際にそれを実行できたことが、安全につながったのだと強く感じました。
知床は「人間の都合で自然に入る場所ではなく、自然の中にお邪魔させてもらっている場所」。
そのことを体で深く感じた瞬間でもありました。
訪れる方へのメッセージ
知床の自然を楽しむためには、いくつかの基本的な心がけがとても大切です。
・静かに歩きすぎず、適度に音を出して進む
・ゴミや食べ物は必ず持ち帰る
こうした行動は、私たち自身の安全を守るだけでなく、野生動物やこの地の自然環境を守ることにもつながっています。
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自然は、美しいだけでなく、ときに厳しさも持ち合わせています。
その両面をきちんと受けとめ、自然を尊重する姿勢があってこそ、心に残るような本当の感動が待っているのだと思います。

知床五湖(五湖)
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私自身、この体験を通じて、
「自然に向き合う覚悟」と「学ぶ姿勢の大切さ」を、あらためて心に刻みました。
今でも、あの日の静かな森と、遠ざかるクマの姿を思い出すたびに、自然の偉大さと、自分の小ささを感じます。
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自然環境の保全に取り組む団体に支援が届く「ロスパン」についての体験記も綴っています。
日々の暮らしの中で、私たちにできる小さなアクションのひとつとして、よろしければあわせてご覧ください。