中之島バラ園 〜川風にのったバラの香りを楽しむ沈床花壇〜

中之島バラ園の沈床花壇
Garden Walk

中之島バラ園は、大阪市北区のビジネス街の中心に位置する、約13,000平方メートルの都市型バラ園です。堂島川と土佐堀川にはさまれた細長い中洲にあり、春と秋には約310品種・3,700株ものバラが咲き誇ります。

アクセスの良さと入園無料という気軽さから、季節の花を楽しみに訪れる人々でにぎわう、都会の中の癒しの空間です。

中之島バラ園の立地を生かした設計

中之島バラ園と聞いて、まず思い浮かぶのは、川に囲まれた中洲に広がるバラの景色ではないでしょうか。
実はこのバラ園、見た目の美しさだけでなく、立地を活かした少し特別な設計がされています。

中之島バラ園(Nakanoshima Rose Garden)

中之島バラ園(Nakanoshima Rose Garden)

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香りを集めるサンクンガーデン(沈床花壇)

中之島バラ園は、土佐堀川と堂島川にはさまれた中洲に位置しています。その特徴的な地形を活かし、園内の花壇は周囲の地面より一段低く設計されています。

このような設計は「沈床花壇(ちんしょうかだん)」、英語では「サンクンガーデン(Sunken Garden)」と呼ばれています。文字通り「沈んだ庭」という意味で、地面を掘り下げてつくられた花壇のことを指します。

周囲の地盤より下げられた沈床花壇

周囲の地盤より下げられた沈床花壇

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中之島バラ園では、庭の中心が低くなるように意図的にデザインされており、両岸の川から吹く風にのって、バラの香りが自然と中央に集まるようになっています。
花を目で楽しむだけでなく、香りも一緒に感じられるよう工夫された、香りの庭です。

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どんな香りが楽しめるの?

バラ園の楽しみ方は、花の美しさだけではありません。種類によって異なる「香り」も、大きな魅力のひとつです。

バラの香りは主に6つのタイプに分けられ、それぞれに特徴があります。ここでは代表的な香りと、その香りを持つバラの品種をご紹介します。

ダマスク系の香り

甘く華やかな、香り高いなどと表現される香り

甘く華やかで、しっかりとした芳香が特徴です。最も古くから知られているバラの香りのひとつで、多くの香水にも使われています。

カザンリク(Kazanlik)

カザンリク(Kazanlik)

ブルガリアのカザンリク地方で古くから栽培されているバラで、バラの精油の原料としても有名です。
1kgの精油を採取するためには、約3トンもの花びらが必要とされています。

このカザンリクは、「ばらぞのばし」を渡った堂島川沿いに植えられています。

同じエリアには、ほかにも以下のオールドローズが植えられており、園内に豊かな香りを漂わせています。

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ティー系の香り

紅茶の缶の蓋を開けたような香り

レディ ヒリンドン(Lady Hillingdon)

レディ ヒリンドン(Lady Hillingdon)

ティーローズを代表する品種のひとつ。アプリコット色の花びらが、赤い枝と灰緑色の葉によって引き立てられています。

こちらの品種は、難波橋を背にして花壇中央の奥、右手側のエリアで見られます。

フルーティな香り

アプリコット、ピーチ、アップルのような果実を思わせる甘い香り

ダブル デライト - Double Delight

ダブル デライト – Double Delight

香りと花姿の両方で高く評価されているバラで、世界バラ会議で殿堂入りした品種です。

名前の「ダブル」は、美しさと香り、ふたつの魅力を持つことに由来しています。
堂島川沿いから香りが園内に届きます。

※世界バラ会議の「殿堂入りバラ」については、関連リンクから詳細をご覧いただけます。

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スパイシーの香り

クローブなどの香辛料に似た、少しクセのある香り

デンティ ベス(Dainty Bess)

デンティ ベス(Dainty Bess)

一重咲きが特徴のバラで、やさしいピンクの花びらが印象的です。見た目とは対照的に、香りにはスパイスのニュアンスがあります。

このタイプの香りは、一重咲きのバラに多く見られます。

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ミルラの香り

ほんのり甘く、スパイシーさも感じる香り

アンブリッジ ローズ(Ambridge Rose)

アンブリッジ ローズ(Ambridge Rose)

ミルラの香りを持つ品種です。ミルラは古代エジプトでは防腐剤としても使われていた天然樹脂で、神聖な香りとして知られています。

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ブルーの香り

ダマスク・モダン系とティー系の香りが合わさった、爽やかでやや複雑な香り

ブルー バユー(Blue Bajou)

ブルー バユー(Blue Bajou)

ブルー系のバラに多く見られる香りです。中之島バラ園では、難波橋を背にした土佐堀川側の入口付近で見ることができます。

このほかにも、ブルー系では「ブルームーン」などの品種が沈床花壇に植えられています。

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バラの香りはいつでも楽しめるの?

バラは、一日のうちでも特に香りが豊かに感じられる時間帯があります。
一般的に、バラの香りは日の出とともに最も強くなり、午前中の涼しい時間帯にピークを迎えます。
そのため、香りをしっかり楽しみたい方には、早朝から午前10時ごろまでの時間帯がおすすめです。

川風にのって届くバラの香りを感じながら、中之島ならではの魅力をいつも楽しんでいます。
バラ園めぐりの参考になれば幸いです。

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世界バラ会議の殿堂入りバラについてはこちらの記事で紹介しています。




※この記事は、関連サイト「Azure Garden」のブログ「庭園めぐり」より移行・再編集したものです。

ガーデンの基本情報

施設名:中之島公園(バラ園)
住 所:大阪市北区中之島1 
公式URL: https://www.osakapark.osgf.or.jp/nakanoshima/
営業時間:常時開園
休園日:なし
※詳細につきましては公式サイトにてご確認ください。




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