ハナミズキの見分け方と基本情報|苞の構造や実も紹介

ソメイヨシノが葉桜へと移り変わるこの時期、街中で目に留まるようになるのがハナミズキです。
白やピンクの花が咲き、春から初夏にかけて見頃を迎えます。
可愛らしい花を咲かせるため、街路樹や庭木として植えられているのをよく目にします。
Contents
ハナミズキの特徴
白やピンクの花を咲かせるハナミズキは、3月から5月にかけて、春から初夏の季節に見ることができます。
花びらのように見えるのは苞(ほう)
ハナミズキの花は、ぱっと見たところ4枚の大きな花びらが印象的ですが、実はこの部分は「苞(ほう)」と呼ばれます。
苞は花を包む役割をしており、「萼(がく)」とは異なります。
そして、中央に小さく集まっている粒のような部分が、実際の「花」で、花粉を出したり実をつけたりする役割を担っています。

ハナミズキの花と苞(ほう)
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苞は、花を保護するだけでなく、色づいて虫を引き寄せる役割も果たします。
ハナミズキでは、白やピンクに色づいた苞が、花全体を華やかに見せています。
同じような構造は、ポインセチアやブーゲンビリアにも見られます。
苞(ほう)が凹んでいる
ハナミズキのもう一つの特徴は、この苞の先端が凹んでハート型のように見えるところです。
このくぼみは、ハナミズキらしいやさしい印象を与える部分でもあります。

ピンクのハナミズキ(花水木)- Dogwood
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ハナミズキとヤマボウシの違い
ハナミズキとよく似た花木に、「ヤマボウシ」があります。

ヤマボウシ(山法師)- Japanese Dogwood
どちらも白やピンクの花を咲かせるため、見た目だけでは区別がつきにくいこともあります。
ここでは、開花の時期や苞の形、花の咲き方など、両者の特徴を比較してみました。
項目 | ハナミズキ(アメリカ原産) | ヤマボウシ(日本原産) |
---|---|---|
開花時期 | 3月~5月(春) | 5月~6月(初夏) |
苞の形 | 丸くくぼみがある | 尖っている |
原産地 | 北アメリカ | 日本・朝鮮半島 |
花のつき方 | 花の後に葉が出る | 葉の後に花がつく |
日米親善の木としてのハナミズキ
ハナミズキが日本に広まったきっかけは、日米友好のシンボルとして贈られたことにあります。
1912年、日本からアメリカ・ワシントンD.C.へ桜が贈られたことへの返礼として、1915年にアメリカから東京へハナミズキが贈られました。
このとき届けられたのは、アメリカハナミズキ(Cornus florida)の苗木です。
その後、各地に植えられ、街路樹や公園の木としても広く親しまれるようになりました。
こうした背景から、ハナミズキは日米友好の木、親善の木としても親しまれています。
ハナミズキの実
秋になると可愛い赤い実をつけます。
花の季節だけでなく、秋には紅葉や赤い実と、季節ごとに違った表情を見せてくれるので、1年を通して楽しめる木として人気があります。

ハナミズキの実(花水木)- Dogwood
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この赤い実は、野鳥たちにとっても貴重な食べ物になっており、実を目当てにさまざまな鳥がやってくることがあります。
代表的なものでは、ヒヨドリやツグミ、メジロなど。
実のなる季節にはハナミズキの周りで羽を休める姿が見られるかもしれませんね。
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花びらに見える部分が苞(ほう)であるハナミズキのように、
萼(がく)が花びらのように見える花もあります。
クレマチスやセンニンソウなど、同じような構造を持つ植物についてはこちらでご紹介しています。

ハナミズキの基本情報

ハナミズキ(花水木)- Dogwood
花名:ハナミズキ(花水木)
科名:ミズキ科
属名:ミズキ属
別名:アメリカヤマボウシ
学名:Cornus florida
英名:Flowering dogwood
花期:4月~5月
花色:白、赤、ピンク
花言葉:返礼
ハナミズキの仲間
- サンシュ
- ヤマボウシ
参考:『花しらべ花認識/花検索』アプリ
『野鳥と木の実ハンドブック 増補改訂版』 2021.1.31 文一総合出版 叶内拓哉 著