フジ(藤)|春から初夏に咲く、紫のカーテン

近所の公園では、藤の花がちょうど満開を迎えています。
フジは、4月から5月にかけて咲く、初夏を彩る花のひとつです。
つる性の植物で、満開になると紫のグラデーションが風に揺れて、遠くからでもひときわ目を引きます。
Contents
初夏を知らせる紫色のフジ
フジの学名は Wisteria floribunda。
この「floribunda(フロリバンダ)」は、「たくさんの小さな花が咲く」という意味を持ちます。バラの系統としても使われる言葉で、フジもまた、その名の通り小さな花がたくさん連なって咲く姿が特徴です。

小さな花がたくさんついたフジ(藤)
フジの種類と特徴
日本で見られるフジには、主に2つの種類があります。
それぞれに異なる魅力があり、楽しめる場所や咲き方にも特徴があります。
ここでは、代表的な2種類のフジと、その美しい咲き姿を楽しめる名所をご紹介します。

フジ(藤)- Japanese Wisteria
長いカーテンのような咲き姿のノダフジ(野田藤)
ノダフジは、まるで長いカーテンのように咲く姿が特徴です。
藤の名所といえば、やはり栃木県の『あしかがフラワーパークの大藤棚』。樹齢160年ともいわれる見事な藤が、毎年多くの人を魅了しています。

あしかがフラワーパークの野田フジ
葡萄の房のようなヤマフジ(山藤)
ヤマフジは、房が短く、まるで葡萄のように見えるのが特徴です。
野生のフジが見られる名所として知られているのが、東京都あきる野市にある『大久野(おおぐの)のフジ』。
樹齢はなんと約400年といわれ、東京都の天然記念物にも指定されています。
写真は、高速道路から見かけた野生のフジ。
人の手が届かない場所でも、たくましく花を咲かせている姿が印象的でした。

ヤマフジ(山藤)- Japanese Wisteria
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ノダフジとヤマフジの見分け方
ノダフジとヤマフジのそれぞれの違いは、「蔓の巻き方」や「花房の長さ」といった特徴に表れます。
・ヤマフジ(山 藤) – 蔓は左巻き(反時計回り)で房が短い
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フジの枝がどちらに巻いているかを見分けるときは、両手を「グー」にしてみるとわかりやすいそうです。
枝の巻き方向に向けて、右手の親指と同じ方向なら「右巻き」のノダフジ、左手の親指が向いている方向なら「左巻き」のヤマフジと見分けることができるそうです。

右巻き?左巻き? – フジの見分け方
美しいだけではないつる性植物
フジはその美しさで多くの人を魅了しますが、つる性植物ならではの一面もあります。
特にヤマフジのような野生種は、手入れが行き届かないと他の植物に絡みついてしまい、環境に影響を与えることもあるそうです。
地域によっては山の手入れに関わる人が減っており、管理の難しさが課題になっていると知りました。
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野生のヤマフジとの出会いをきっかけに、自然の美しさと、その背景にある課題について学んだコラムを、こちらでご紹介しています。

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紫のフジと対照的に、黄金の花房を揺らすのが「キングサリ」。
ヨーロッパの庭園では、春の終わりから初夏にかけて親しまれているつる性の花木です。
その美しさや文化との関わりについては、こちらの記事でご紹介しています。

フジの基本情報
花名:フジ(藤)
科名:マメ科
属名:フジ属
別名:ノダフジ(野田藤)、ヤマフジ(山藤)
学名:Wisteria floribunda
英名:Japanese wisteria
花期:4~5月
花色:紫、青、白、黄
花言葉:歓迎、優しさ
フジの仲間
- ナヨフジ
- ソラマメ
- キングサリ
- シロツメグサ
- スイートピー
- デイゴ
- ネムノキ
- ハーデンベルギア
- ハギ
- ヒネム
- ホウオウボク
参考:『花しらべ花認識/花検索』アプリ
※この記事は、関連サイト「Azure Garden」の自然を楽しむブログより移行・再編集したものです。(2025.4.22)