【植物に学ぶ】野生のヤマフジに出会って — 自然が語る、もうひとつの風景
車窓から見た季節の移り変わり
ドライブで高速道路を走っていると、山々が季節ごとにさまざまな表情を見せてくれます。
普段は気づかないような場所に自生植物が顔を出し、「こんなところにこんな植物が咲いていたんだ」と、見つけるたびに「これは何だろう」と興味が湧いてきます。
たとえば、冬から春にかけては、山桜のやわらかなピンクや、コブシの白い花。
ドライブしていると、山間にふいに現れる春のピンクの景色
初夏には、山の緑の中に藤色が顔を出しています。
山あいに見るヤマフジ – 高速道路の車窓より
秋には、ススキとともにセイダカアワダチソウの黄色がふわっと広がっていることもあります。
今回は、そんな風景の中で目に留まった「フジ（藤）」についてご紹介したいと思います。
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野生のフジとの出会い
高速道路を走る車窓からふと目に留まったのが、木々に絡みつくように咲くフジの花でした。
車窓から見たヤマフジ（山藤）- Japanese Wisteria
高速道路から眺める景色の中で、房の短いフジの花がぎゅっとまとまって咲いている様子が見えました。
ぶどうのような房の特徴から、これはヤマフジではないかと思いました。
整えられた藤棚の美しさとは違い、自然の中で自由に広がるその姿に、強い生命力を感じました。
こちらは手入れがされているノダフジ。
手入れされている藤棚（ノダフジ）
野生のヤマフジ。
車窓から見たヤマフジ（山藤）
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天然記念物が語る、フジの力強さ
車窓から見たフジの姿をきっかけに、野生のフジについて調べる中で、「大久野（おおぐの）のフジ」という存在を知りました。
東京都あきる野市にあるこのフジは、樹齢およそ400年。高さ30メートル、幹の太さは3メートルにもなり、東京都の天然記念物に指定されています。
フジは、自力で立つことのできないつる性植物。
何かに巻きつきながら、空へとのびていきます。
大久野のフジについては、
「蔓がアラカシやスギの木に巻きつく姿は、大蛇がとぐろを巻いているようだ」
と表現されています。
その力強さと、自然の中で生き抜くたくましさが、伝わってくるようでした。
※「大久野のフジ」について 日の出町公式サイトもご参照ください。
美しさの奥に、もうひとつの風景
伸びやかで力強い咲き姿に圧倒されていたのですが、あとになって野生のフジには別の一面があることをニュースで知ることになりました。
フジは、その美しさで多くの人を魅了しますが、つる性という性質ゆえに、別の姿を見せることもあります。
特にヤマフジのような野生種は、手入れが行き届かないと他の植物に絡みつき、生育環境に影響を与えることもあるそうです。
地域によっては、山の手入れに関わる人が高齢化により減少し、管理の難しさが課題になっていることを知りました。
何げなく眺めていた自然のうらに、これまで気づかなかった人々の手入れがあったことを、あらためて知る機会となりました。
おわりに
ドライブで走る高速道路の窓の外にも、ふとした瞬間に、見過ごしがちな山の景色が広がっているかもしれません。
自由に咲く花の姿に心を惹かれたり、自然の中にある課題にふと気づいたり。
そんな出会いもまた、季節のひとこまなのだと思います。
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フジ（藤）についてはこちらの記事でも紹介しています。
