2025年春|造幣局「桜の通り抜け」見どころと印象に残った5品種

毎年春の風物詩として多くの来場者を集める「造幣局 桜の通り抜け」。
大阪市北区天満にある造幣局本局の南門から北門まで、約560メートルの通路を一般公開し、142品種・340本もの桜を楽しめる恒例のイベントです。
2025年は、4月4日(土)〜 4月11日(金)まで開催され、春の彩りを求めて多くの来場者が訪れています。
Contents
「桜の通り抜け」の魅力

造幣局「桜の通り抜け」2025 – 白雪の下より撮影
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・会場は国指定の史跡スポット
・造幣局周辺の川沿いの桜並木と、水上バスや屋形船が行き交う春の風景も魅力
- 造幣局の周辺風景
- 造幣局「桜の通り抜け」
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期間中には約70〜80万人が訪れるとも言われており、全国的にも高い人気を誇るイベントです(※造幣局公式Q&Aより)。全体の約8割を占める八重桜は、一般的な桜の見頃が過ぎたころに開花し、春の後半に楽しめる遅咲きの品種が中心です。
また、来場者の投票によって選ばれる「今年の花」にも注目が集まります。
印象に残った桜たち
今年は、前回の訪問から3年ぶりの「桜の通り抜け」でした。
久しぶりの訪問で、紹介したい桜にもたくさん出会いましたが、今回はその中から、「今年の花」と共に特に印象に残った5品種をご紹介します。
✿ 令和7年 今年の花「蘭々(らんらん)」
やはり真っ先に紹介したいのが、2025年の「今年の花」に選ばれた「蘭々(らんらん)」です。
桜の通り抜けでは、毎年、来場者の投票によって選ばれた品種が「今年の花」として特別に紹介されます。

蘭々(らんらん)- 2025 Cherry of the Year: ‘Ranran’2025.4 撮影
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この「蘭々」は、上野動物園のパンダ「蘭々」を悼む気持ちから名付けられた桜で、花が密集して咲く姿が、パンダのふわふわとした毛並みに似ていることでも親しまれています。
名前の可愛らしさだけでなく、その由来にも心惹かれる品種です。
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- 蘭々(らんらん)- ‘Ranran’ sakura
- 蘭々(らんらん)- ‘Ranran’ sakura
造幣局内の数カ所で見ることができましたが、今年はまだ見頃には少し早いと感じられる株もありました。それでも、丸みを帯びた柔らかな花びらが風に揺れる様子はとても印象的で、来場者の注目を集めていました。
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3年前に訪れた際に撮影した「蘭々」の写真も、参考までにご紹介します。
訪れるタイミングによって花の咲き具合や色味には微妙な違いがあり、そうした変化を楽しめるのも、この桜の醍醐味だと感じます。

蘭々(らんらん)- Sakura ‘Ran Ran’ 2022.4 撮影
✿ 雨宿(あまやどり)

雨宿(あまやどり)- ‘Amayadori’ sakura
控えめながら、どこか惹きつけられる雰囲気を持つ桜。
後から知ったのですが、先ほど紹介した「蘭々」の交配親でもあるのだそうです。
そう思って改めて見ると、蘭々のコロンとしたやわらかい雰囲気は、たしかにこの雨宿に通じるものがあります。
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雨宿のもうひとつの魅力は、薄紅色の蕾と、咲いたときの真っ白な花とのコントラストです。

雨宿(あまやどり)- ‘Amayadori’ sakura
✿ 御殿匂(ごてんにおい)

御殿匂(ごてんにおい)- ‘Gotennioi’ sakura
他の桜とは少し異なる、青みを帯びた紅紫色の花が印象的な品種。
樹銘板では「紅紫色」と説明されており、蕾から花びらにかけての紫のグラデーションが、どこか品のある色合いを感じさせます。
通り抜けの中でも、ひときわ独特な存在感を放っていました。
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蕾は濃紅紫、開花すると薄紅紫になり、縁の方だけ紅紫が残るのだそうです。

御殿匂(ごてんにおい)- ‘Gotennioi’ sakura
✿ 笹部桜(ささべざくら)

笹部桜(ささべざくら)- ‘Sasabezakura’
こちらは、木全体を覆うようにびっしりと咲いていたのが印象的な桜です。
花が密集していたため小ぶりな花かと思ったのですが、造幣局の公式サイトによると「中輪」とのことで、意外にもそのサイズに驚かされました。

笹部桜(ささべざくら)- Sasabezakura
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グランドカバーならぬ、ツリーカバーと言いたくなるくらい木に張りついているように見えました。
- 笹部桜(ささべざくら)- ‘Sasabezakura’ sakura
- 笹部桜(ささべざくら)- ‘Sasabezakura’ sakura
✿ 鬱金(うこん)
2022年に訪れた際の記事では、黄緑色の桜2品種を紹介しましたので、今回も1品種ご紹介します。

鬱金(うこん)- ‘Ukon’ sakura
この品種は、江戸時代に京都の知恩寺に植えられていたと言われているそうです。しょうがのウコンに色が似ていることからこの名がついたとのこと。
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ウコンといえば、やっぱり沖縄。私の故郷なので、この名前にはつい親しみが湧いてしまいます。
地元では「うっちん」と呼ばれ親しまれています。ちなみに泡盛をうっちん茶で割って飲むのが、私のお気に入りです。
美味しい上に、二日酔いしないのは……やっぱり“ウコンの力”かも!?と信じています。

鬱金(うこん)- ‘Ukon’ sakura
✿ 大提灯(おおじょうちん)

大提灯(おおじょうちん)- ‘Oojouchin’ sakura
こちらも可愛らしい薄紅色の桜です。提灯のようにぶら下がって咲くことからこの名がついています。
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この可愛らしさを表現するのに、言葉は要りません。

大提灯(おおじょうちん)- ‘Oojouchin’ sakura
番外編(来年こそは咲き姿を見たい品種)
この2品種は、訪問時にはまだ咲いておらず、見頃には少し早かったため番外編としてご紹介しています。
✿ 火打谷菊桜(ひうちだにきくざくら)
中央の大きな木が今年から新しく登場した「火打谷菊桜」。今回は咲いている姿は見られませんでしたが、桜色で二段咲きの花をつけるそうです。
- 火打谷菊桜(ひうちだにきくざくら)- ‘Hiuchidanikikuzskura’ sakura
- 火打谷菊桜(ひうちだにきくざくら)- ‘Hiuchidanikikuzskura’ sakura
✿ 箒桜(ほうきざくら)
その名の通り箒を逆さにしたような樹形の箒桜。こちらもまだ見頃には早かったので次回の楽しみにしたいと思います。

箒桜(ほうきざくら) – ‘Houkizakura’ sakura
まとめ
2025年の造幣局「桜の通り抜け」でも、今年も多くの品種が美しい花を咲かせ、訪れる人々の目を楽しませてくれました。
今回紹介した品種は、どれも色や形に個性があり、桜の多様さや奥深さをあらためて感じるひとときになりました。
- 通り抜けスポット – ガス燈周辺
- 通り抜けスポット – 旧正門・八角形レトロ詰所
最後に訪れたのは2022年のコロナ明け。その時はまだ静けさの残る再開の春でしたが、今年は川沿いの屋台から漂う唐揚げの香りや、通りのにぎわいが戻ってきたことも印象的でした。
桜の向こうに広がる屋台のにぎわいもまた、春の風物詩のように感じられたひとときでした。
来年は、またどんな桜が「今年の花」として選ばれるのか、今から楽しみです。
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開催概要(基本情報)
* 開催期間:2025年 4月5日(土)〜11日(金)
* 時間帯:(平日)10:00 〜 19:30 / (土日)9:00 〜 19:30
* 入場:無料(オンラインにて事前申込制)
* アクセス:詳細につきましては公式サイトをご確認ください。
* 公式サイト:https://www.mint.go.jp/enjoy/toorinuke/sakura_osaka_news_r7.html
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