キリスト教文化に学ぶ「西洋のブルー」

キリスト教文化に学ぶブルー
Column

12月に入り、街はすっかりクリスマスムードに包まれました。
今回は、いつもとは少し視点を変えて、キリスト教文化に見る「西洋のブルー」についてご紹介したいと思います。

キリスト教文化に学ぶ「西洋のブルー」

中世ヨーロッパにおいて、青の顔料はたいへん希少で、時に金よりも高価だったと伝えられています。
そのため、青は高貴さや神聖さを象徴する特別な色として扱われてきました。

今回は、イエス・キリストの母、聖母マリアに焦点を当てながら、4つの「ブルー」にまつわる文化をご紹介します。

宗教画に見る「マリアンブルー」

宗教画に描かれた聖母マリアは、ブルーのローブを羽織っているのにお気づきでしょうか?
やや灰みを帯びた深みのある青。その色は、聖母マリアの「マリアンブルー」と呼ばれています。

聖母マリアに見る「マリアンブルー」

聖母マリアに見る「マリアンブルー」

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聖母マリアは、キリスト教において尊敬される聖人の一人であり、西洋絵画では青のローブに身を包んで描かれています。
この青は、純潔や慈愛を象徴しているとされています。

聖母の純潔と天の王国を象徴しており、多くの宗教芸術作品で見ることができます。

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西洋建築に見る「シャルトルブルー」

次にご紹介するのは、フランス・シャルトル大聖堂のステンドグラスに見られる美しい青、「シャルトルブルー」です。

シャルトルの聖母子(The Virgin and Child of Chartres Cathedral)」として知られるステンドグラスは、世界で最も美しい青と称えられています。
シャルトル大聖堂はユネスコ世界遺産にも登録され、その壮麗なステンドグラス群は「光の聖書」とも呼ばれています。

シャルトル大聖堂のシャルトルブルーと聖母マリア

シャルトル大聖堂のシャルトルブルーと聖母マリア


出典:jorisvo / Adobe Stock

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ステンドグラスは、左から右へ、下から上へと読み進めるようにストーリーが描かれており、ゴシック建築の傑作として知られるこの大聖堂において、青は中世芸術と信仰の象徴となっています。

植物に見る「コーンフラワーブルー」

ヤグルマギク(矢車菊)は、英語でコーンフラワー(Cornflower)と呼ばれ、その青い花色は「コーンフラワーブルー」として知られています。
また、ヤグルマギクは、キリスト教文化の中では聖母マリアを象徴する花のひとつとされてきました。

ヤグルマギク(矢車菊)-  Cornflower

ヤグルマギク(矢車菊)- Cornflower

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もともとは薬草として人々の生活に寄り添っていたこの花は、慎ましさ、清楚さ、純粋さを表すものとして、やがてキリスト教徒の信仰心そのものを象徴する存在になったようです。
澄んだ青い花は、単なる自然の美しさを超え、心の内なる清らかさを映すものとして、西洋の文化に根付いてきました。

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結婚式に見る「サムシングブルー」

今では日本でも広く知られるようになった結婚式の「サムシングフォー」。
これはイギリスの伝統に由来し、新婦が4つのものを身につけると幸せな結婚生活を送れるとされるものです。

♢ Something Old (何か古いもの)
♢ Something New (何か新しいもの)
♢ Something Borrowed (何か借りたもの)
Something Blue(何か青いもの)

この中の「サムシングブルー」は、聖母マリアの純潔や貞節を象徴する色とされ、結婚式においても特別な意味を持っています。

伝統的には、青いガーターなど、人目に触れないところに身につけると良いとされていましたが、現代では、靴やアクセサリー、ハンカチのレース、髪飾りなど、さまざまな形で自由に取り入れられているようです。

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また、青い花として知られるヤグルマギクは、結婚式のブーケやアレンジメントにもよく取り入れられています。
その澄んだ青色が、サムシングブルーの願いを静かに彩り、特別な一日をそっと引き立ててくれるのかもしれません。

愛と純潔の象徴として、結婚式に選ばれるヤグルマギク

愛と純潔の象徴として、結婚式に選ばれるヤグルマギク

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まとめ

青という色には、ただ美しいだけでなく、信仰、希望、そして愛が込められています。

クリスマスといえば、一般的には赤や緑のイメージが強いかもしれませんが、今回は少し趣向を変えて、西洋文化における「ブルー」の深い意味と美しさに目を向けてみました。

クリスマスシーズンに教会を訪れたり、ポストカードなどで宗教的な絵画に触れる機会がありましたら、ぜひこの「西洋のブルー」を探してみてはいかがでしょうか。

※この記事は、関連サイト「Azure Garden」の自然を楽しむブログより移行・再編集したものです。

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ヤグルマギクについては、こちらの記事でも別の視点からご紹介しています。
よろしければあわせてご覧ください。

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