ソメイヨシノ(染井吉野)|日本を代表する桜

日本の桜といえば、やはりソメイヨシノ(染井吉野)。
全国で最も親しまれてきた桜として、日本の春を象徴する存在です。
Contents
ソメイヨシノの特徴
交配親から受け継いだ性質
ソメイヨシノは「エドヒガン(江戸彼岸)」と「オオシマザクラ(大島桜)」を交配して生まれた栽培品種です。
・オオシマザクラ:大きな花を咲かせる
この2つの特徴を受け継ぎ、花のボリューム感と開花の早さが魅力となりました。

エドヒガン(江戸彼岸)
出典:fuum / Adobe Stock

オオシマザクラ(大島桜)
ソメイヨシノの名前の由来
江戸時代末期、江戸・染井村(現在の東京都豊島区)の植木職人が「吉野桜」の名で売り出したのが始まりです。
奈良・吉野山のヤマザクラと区別するために、「染井」と「吉野」を組み合わせて「ソメイヨシノ」と呼ばれるようになりました。
全国に広がった「クローン桜」
全国に咲いているソメイヨシノは、すべて接ぎ木によって増やされた「クローン桜」であり、同じ遺伝子を持つことでも知られています。
そのため、専門家の中には、「エドヒガン」と「オオシマザクラ」から生まれた原木の「ソメイヨシノ」と、全国に広まったクローン桜とを区別するために、クローン桜を「染井吉野」と漢字表記にすべきという考えもあるようです。
咲き始めから咲き終わりまで
ソメイヨシノは花の中心部の色が変化するため、咲き進むにつれて印象が変わります。
咲き始めのソメイヨシノ
咲き始めの頃は、花の中心がほんのり緑がかって見えるのが特徴です。
そのため、全体としては白っぽく感じられることが多いかもしれません。

咲き始めの状態(just bloomed) 中心部分がほんのり緑がかって見えます
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咲き始めの状態(just bloomed) 中心部分がほんのり緑がかって見えます
咲き進んだソメイヨシノ
咲き進むにつれて、花の中心部分が少しずつ赤みを帯びてきます。
この変化によって、全体としてピンク色が濃く見えるように感じられることもあります。

咲き進んだソメイヨシノ (before fall)花の中心に赤みが増し、全体がピンク色に見えます

咲き進んでピンクがかったソメイヨシノ
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そのため、桜の咲き終わりが近づくころには、全体がほんのりピンク色に見えるのです。

散りゆくソメイヨシノ
この色の変化も、多くの人を惹きつける理由のひとつです。
葉桜になったソメイヨシノ
「葉がつき始めると咲き終わりに近い」とよく言われますが、花の中心の色もひとつの目安になりますね。
葉桜になるころには、桜はこのような姿になります。

ソメイヨシノ – 葉桜の様子
ソメイヨシノの未来と世代交代
寿命が60年ほどといわれるソメイヨシノは、近年では老木化に加え、カビが原因の「てんぐ巣病」や「胴枯れ病」による被害が各地で報告されています。
同じ遺伝子を持つクローン桜だからこそ、一つの弱点が全国に広がりやすいという課題があります。
こうした背景から、「日本さくらの会」ではソメイヨシノの新規配布を停止し、代替品種として「ジンダイアケボノ(神代曙)」を推奨しています。
ジンダイアケボノは病気に強く、花もちも良いとされ、すでに各地で新しい春の風景を彩り始めています。
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《参考》
・『もっと知りたいさくらの世界より』 監修 勝木俊雄 汐文社 2020.01
・『ソメイヨシノと‘染井吉野そめいよしの’はちがう?!意外と知らない桜さくらの真実』, Honda Kids, 2024.2.14
※この記事は、関連サイト「Azure Garden」の自然を楽しむブログより移行・再編集したものです。

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ソメイヨシノの交配親についてさらに詳しくはこちら。


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