【植物に学ぶ西洋文化】秋の聖ミカエル祭とヒナギク

ヒナギク(雛菊)
Column

秋の深まりとともに、野に咲くヒナギクが可憐な姿を見せる季節。
日本では十五夜草(ジュウゴヤソウ)が見頃を迎える9月の終わり、ヨーロッパのキリスト教圏では「聖ミカエル祭(Michaelmas)」が祝われます。
この日と、ヒナギク(Michaelmas Daisy)には、深い結びつきがあります。

聖ミカエル祭とは

聖ミカエル祭は、毎年9月29日に祝われるキリスト教の祝日で、大天使ミカエル(St. Michael the Archangel)とすべての天使たちに敬意を表する日です。

ミカエルは、神の軍勢を率いて悪と戦う守護の天使。

大天使ミカエル(St Michael the Archangel)

大天使ミカエル(St Michael the Archangel)

出典:zatletic / Adobe Stock

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その姿は、キリスト教だけでなく、ユダヤ教やイスラム教にも共通して登場します。

象徴するもの:保護、勇気、正義、そして力強さ

古来ヨーロッパでは、災厄や闇に立ち向かう存在として、多くの人々に信仰されてきました。

聖ミカエル祭のヒナギク

この時期に咲くヒナギクは、「Michaelmas Daisy(聖ミカエル祭のヒナギク)」と呼ばれ、「勇気」「保護」の象徴として愛されています。
様々な植物が咲き終わる中でも一面に咲き広がるヒナギクは、その姿で人々に暖かさと勇気を与えたことから、この祭日に結びつけられるようになったのです。

花を贈る風習

イギリスでは、聖ミカエル祭にミカエルのヒナギクを贈る伝統があります。
ヒナギクを贈ることで、人々は大天使ミカエルの保護を受け、その強さを授かり、冬を迎える準備をするのです。



Quarter Dayに咲くヒナギク

かつて大学や農村では、9月29日は「Quarter Day(契約更新日)」という節目の日でもありました。
この日は、社会的にも「新たな始まりの日」として意識されていたのです。

そんな大切な日に贈られるヒナギクは、祈りと再生の象徴として、人々の心に静かに寄り添っていたのでしょう。

花に宿る季節の教え

ミカエルのヒナギクは、アスター(Aster)属に分類されます。
その名はギリシア語の「星(aster)」に由来し、花の形にもそれが表れています。

星のように広がる花は、秋の終わりまで咲き続け、「別れ」「希望」などの花言葉を持つことも。

秋から冬へと向かうこの時期に咲く花だからこそ、見る人の心に灯をともしてくれるのかもしれません。

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《参考》
・「イギリス歳時暦」 チャールズ・カイトリー著 澁谷 勉訳 大修館書店 1995.11.1
The Michaelmas Daisy, Historic UK, 2025.9

※この記事は、関連サイト「Azure Garden」の自然を楽しむブログより移行・再編集したものです。

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