【植物に学ぶキリスト教文化】黒バラ「シュワルツ マドンナ」からたどる黒の聖母

シュワルツマドンナ(黒の聖母)と呼ばれる深紅のバラの花
Column

聖母マリアといえば、青いローブに象徴される姿を思い浮かべる方も多いかもしれません。
そんな中で、「黒の聖母」という意味をもつバラに出会いました。

先日、バラについて調べていたときに見つけたのが、「シュワルツマドンナ(黒の聖母)」という品種です。
その名前が気になり、「黒の聖母」について少し調べてみました。


シュワルツ マドンナとは

シュワルツ マドンナは、黒みを帯びた濃赤色のバラで、黒赤系のバラの代表的な品種のひとつとされています。

光の当たり方によっては黒にも見える深い赤色で、ビロードのような重厚感のある花として知られています。
その名前はドイツ語で「黒の聖母」を意味します。

黒の聖母とは

「黒の聖母(Black Madonna)」とは、肌が黒く表現された聖母マリア像を指す言葉として使われています。

ヨーロッパ各地に見られ、ポーランドやスペイン、フランスなどで信仰の対象とされてきた例が知られています。
日本でも、山形県鶴岡市のカトリック教会に祀られている例があります。

地域ごとの歴史や信仰と結びつきながら、大切にされてきた存在のようです。

フランス シャルトル大聖堂の黒い聖母像

フランス シャルトル大聖堂の黒い聖母像

出典: Elena Dijour / Adobe Stock

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スペイン スペインのモンセラート修道院の黒い聖母像

スペイン スペインのモンセラート修道院の黒い聖母像

出典: jordirenart / Adobe Stock

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なぜ黒いのか

黒の聖母がなぜ黒く表現されているのかについては、はっきりとした一つの理由があるわけではなく、いくつかの見方があるようです。

・ろうそくの煙などによる経年変化
・はじめから黒い姿として描かれたという説
・大地や豊穣を象徴する存在とする考え方

どれか一つに定まるというよりも、それぞれの背景が重なっていると考えられています。



祈りの対象として

黒の聖母は、病気の回復や豊穣、個人的な苦しみからの救いを願う対象として信仰を集めてきたとされています。

中世には巡礼地として発展した場所もあり、

・フランスのロカマドゥール
・スペインのモンセラート修道院
・イタリアのロレート

などが知られています。

願いが叶った、奇跡が起きたと語られる中で、祀られてきた存在とされています。

スペインのモンセラート修道院

スペインのモンセラート修道院

出典: Sergii Figurnyi / Adobe Stock

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黒という色について

黒の聖母に見られる「黒」という色にも、さまざまな意味が重ねられてきました。

神秘的なものや宇宙的な広がりを感じさせる一方で、豊かな土壌や大地を連想させる色として捉えられることもあります。

青が「天」や「純潔」を象徴するとされるのに対し、
黒はより内面的な深さや、大地と結びついた存在として語られることがあるようです。

祀られてきた場所

黒の聖母像は、教会の中心というよりも、地下空間や洞窟など、光の当たりにくい場所に祀られている例も見られます。

そうした環境も含めて、象徴的な存在として受け継がれてきたと考えられています。

まとめ

シュワルツ マドンナというバラをきっかけに、「黒の聖母」という存在を知ることになりました。

聖母マリアといえば青のイメージが広く知られていますが、
その一方で、黒という色をまとった姿が各地で大切にされてきたことも興味深く感じられます。

同じ「マリア」という名前でも、色によって印象や意味が異なる点は、植物や文化を見ていく中でのひとつの発見かもしれません。

<参考>
・“The Black Madonna”, Encyclopaedia Britannica 2026.3.18
・『芸術新潮』1999年10月号(新潮社)
特集「肌黒のゴッドマザーがいた!黒い聖母詣での旅」



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《関連記事》
聖母マリアといえば「青」のイメージでも知られています。
その象徴的な色については、こちらで紹介しています。

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・植物に学ぶ西洋文化・キリスト教文化シリーズは、こちらでまとめています。




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