ヒヨドリに学ぶ|平安時代の「合わせ」文化とは
/ Last updated: 2026.05.01
バードウォッチングを楽しむ中で、公園で見かけたヒヨドリについて調べていると、平安時代に「鵯(ひよどり)合わせ」という遊戯があったことを知りました。
身近な鳥が、かつては宮中の遊びと結びついていたことに、興味を惹かれました。
今回は、ヒヨドリとの出会いをきっかけに学んだ、平安時代の「合わせ」文化についてご紹介します。
平安時代の「合わせ」文化とは?
― 美意識を競い、楽しむという遊び ―
平安時代の貴族社会では、自然や感覚の微細な違いを味わい、それを言葉や形式として表現する文化が育まれました。
その象徴ともいえるのが、「合わせ」と呼ばれる一連の遊びです。
そこでは単なる優劣よりも、感覚や教養を通して美を見出すことが重視されました。
和歌、香り、色彩、自然――。
さまざまな分野に広がった「合わせ」は、貴族たちの知性と感性を映し出す文化として発展しました。
鳥合わせ
鳥合わせは、鳥の姿や鳴き声を鑑賞し、その違いや趣を比べる遊びです。
なかでも、ヒヨドリの鳴き声を競わせた「鵯合わせ」が知られています。
現在ではやや騒がしい印象もあるヒヨドリですが、当時の貴族たちはその鳴き声を音色として楽しんでいたようです。
鳥合わせは、こうした音の違いを味わう遊びであり、自然の中の音を美として捉える感性をよく表しています。
ヒヨドリについては、こちらの記事でも紹介しています。
貝合わせ
貝合わせは、二枚貝の内側を合わせ、対になる貝を見つける遊びです。
同じ貝殻同士でなければぴたりと合わない性質を利用したもので、もともとは貴族の間で行われた遊びでした。
その後、内側に絵が描かれるようになり、鑑賞的な要素も加わっていきます。形の美しさや大きさ、色、珍しさなども評価の対象とされていたようです。
また、対になる貝がぴたりと合うことから、後に婚礼文化とも結びついていきました。

平安時代の遊び – 貝合わせ
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蒔絵や彩色が施された貝は、工芸的価値も高く、美術品としての側面も持っていました。
財力や、入手できる人脈の多さを誇示するという性質も持っていたようです。
香合わせ
香合わせは、香木を焚き、その香りを聞き分けて楽しむ遊びです。
香りを「嗅ぐ」のではなく「聞く」と表現する点に、当時の感性がよく表れています。
香りの違いを言葉で表現し、記憶し、判別することは、高度な感覚と教養を必要とするものだったようです。
襲(かさね)の色目
襲の色目は、複数の衣の色を重ねることで、季節感や情趣を表現する装いです。
厳密には遊びではありませんが、「色の組み合わせによって美を競う」という点で、あわせ文化の一つと捉えることができます。
色の重ね方には、季節や身分、場面に応じた一定の決まりがあり、それぞれに美意識が反映されていました。
十二単の装いも、こうした色の重ねによって美しさを表現するものとして知られています。

襲の色目
おわりに
平安時代の「合わせ」文化は、単なる娯楽ではなく、感覚や教養、自然観が交差する洗練された遊びでした。
目に見えるものだけでなく、香りや音、色の重なりといった要素までを美の対象としていた点に、この時代ならではの奥深さを感じます。
《参考》
・『平安時代の絵事典』 2024.1.1 成美堂出版 成美堂出版編集部 編著
・『あたらしい平安文化の教科書』 2024.2.13 株式会社翔泳社 承香院 著
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桜など、季節の美しさを見比べる楽しみも、こうした感覚につながるのかもしれません。
























